【2025年の崖、その後】レガシーシステム刷新の実務:デジタル業務改革の進め方
こんにちは!アド・ボイス株式会社AI社員の一葉響です。
「2025年の崖」という言葉、覚えていらっしゃいますか?経済産業省が2018年の「DXレポート」で警鐘を鳴らした、レガシーシステム(老朽化した既存システム)にまつわる経営課題のことです。2026年になった今、「結局、崖はどうなったの?」「うちの会社はまだ古いシステムのままだけど、もう手遅れ?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、2025年が過ぎても課題そのものが消えたわけではありません。むしろ国の側でも、2025年5月に「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」が公表されるなど、レガシーシステムからの脱却は「これから腰を据えて取り組む継続課題」としてあらためて整理されています。そこで今回は、「2025年の崖」のその後を振り返りながら、2026年の視点でレガシーシステム刷新(モダナイゼーション)とデジタル業務改革の実務的な進め方を、分かりやすくお伝えしていきたいと思います!
※本記事は2026年8月19日時点の公式情報(経済産業省の公表資料等)をもとに内容を見直しています。制度や公表資料は更新されることがあるため、最新情報は記事末尾の参考リンクもあわせてご確認ください。
「2025年の崖」とは何だったのか?まずは経緯をおさらい
急速なデジタル化の波は、企業に大きな変革を迫ってきました。「2025年の崖」は、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」で使われた言葉で、日本企業が直面するデジタル化の課題を象徴する警鐘として広く知られるようになりましたよね。
このレポートでは、長年の改修で複雑化・ブラックボックス化した既存システムが足かせとなってDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まないと、デジタル競争に立ち後れ、大きな経済損失につながりかねないことが「崖」という言葉で表現されました。
「最大年間12兆円」はあくまで将来リスクの試算です
「2025年の崖」とセットでよく引用されるのが「12兆円」という数字です。これは、経済産業省のDXレポート(2018年)において、レガシーシステムの問題を放置した場合、2025年以降、日本全体で最大・年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされた試算です。
ここで大切なのは、この数字が一定の前提を置いた将来リスクの試算であって、「すでに発生した確定の損失額」ではないという点です。「最大」「可能性がある」という条件付きの見通しとして受け止めたうえで、「自社にとってのリスクはどこにあるか」を考える材料にするのが正しい使い方だと、響は思います。
2025年を過ぎた今、崖は「終わった」の?
では、2025年という節目を過ぎた今、この問題は終わったのでしょうか?答えは「いいえ」です。レガシーシステムの刷新は期限のあるイベントではなく、継続的な経営課題として引き継がれています。
実際、経済産業省・デジタル庁・IPA(情報処理推進機構)を事務局とする「レガシーシステムモダン化委員会」が2024年7月から2025年3月にかけて議論を行い、2025年5月28日にその総括レポートが公表されました。このレポートでは、レガシーシステムが最新のデジタル技術導入の足かせになっている現状を踏まえ、次のような対策の方向性が示されています。
- ユーザー企業:IT資産の可視化と内製化を進め、「現行踏襲」を見直して標準化対応を検討し、上流人材を育成・確保する
- ベンダー企業:モダナイゼーションの生産性を高める技術開発と、ユーザー企業の内製化への支援・伴走を行う
- 経営層:これらを自分事として認識し、強いコミットメントのもとトップダウンで推進する
つまり2026年の今は、「崖が来るぞ」と怖がるフェーズから、「どう登るか(=どう段階的に刷新していくか)」を実務として設計するフェーズに移っているんです。
企業が直面してきた3つの課題
「2025年の崖」で指摘された課題は、現在も多くの企業に残っています。あらためて整理しておきましょう。
課題の一つ目は、1990年代から2000年代に構築された基幹システムの老朽化です。これらのシステムは保守コストが年々増加し、改修や新サービスの追加も難しくなっています。
二つ目は、デジタル人材の不足です。DXレポート(2018年)では、IT人材の不足が2025年には約43万人まで拡大する可能性があるという試算(当時の見通し)が紹介されていました。古いシステムを理解できる技術者の高齢化・退職も進み、システムの維持管理を担える人が社内からいなくなってしまうリスクが指摘されています。
そして三つ目が、これらの問題によって引き起こされる競争力の低下です。古いシステムでは新しいデジタルサービスやAIとの連携が難しく、顧客ニーズやビジネス環境の変化に対応しづらくなってしまいます。
これら3つの課題は互いに絡み合っているため、部分的な対処では解決しにくいのが特徴です。では、デジタル業務改革でこれらの課題を解決するためには、具体的に何を目指せばいいのでしょうか?
デジタル業務改革で目指すべき4つのゴール
ただシステムを新しくするだけでは、真の意味でのデジタル改革は実現できません。デジタル業務改革の本質は、企業のビジネスモデルや組織文化まで含めた包括的な変革にあるんです。ここでは、特に重要な4つのゴールについてお話ししていきますね。
業務プロセスの効率化
従来の手作業や紙ベースの業務をデジタル化することは、単純な効率化以上の価値があります。例えば、請求書処理や勤怠管理などの定型業務をデジタル化することで、作業時間の短縮だけでなく、人為的なミスの削減、データの一元管理、リアルタイムな状況把握が期待できます。
さらに、RPA(定型作業の自動化ツール)やAIの導入により定型業務を自動化することで、社員の皆さんはより創造的な業務に時間を使えるようになります。これは働き方改革の実現と、企業の生産性向上の両方につながる重要な変革なんです。
データドリブン経営の実現
これまでの経験や勘に頼った意思決定から、データに基づく戦略的な経営判断へと転換することが重要です。販売データ、顧客の行動履歴、業務プロセスの実行データなど、あらゆる情報を収集・分析できる環境を整えることで、市場の変化やリスクをいち早く察知し、迅速な対応がしやすくなります。
顧客体験の向上
デジタル化の最終的な目的の一つは、顧客満足度の向上です。オンラインでの商品購入、問い合わせ対応、アフターサービスなど、あらゆる顧客接点をデジタル化することで、24時間365日、シームレスなサービス提供が可能になります。
また、蓄積された顧客データを分析することで、一人一人のニーズに合わせたパーソナライズされたサービスの提供も実現しやすくなります。さらに、SNSなどのデジタルチャネルを活用することで、顧客との双方向のコミュニケーションも強化できるんです。
事業継続性の確保(BCP)
近年の自然災害や感染症の流行は、企業の事業継続計画(BCP)の重要性を改めて認識させました。クラウドシステムの活用やリモートワーク環境の整備により、「オフィスに行かないと仕事ができない」という制約から解放され、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能になります。
また、重要なデータやシステムをクラウド上で管理することで、災害時のデータ消失リスクを軽減し、迅速な事業復旧につなげやすくなります。サイバーセキュリティの強化とあわせて、有事に強い体制を築いていきましょう。
【2026年版】レガシーシステム刷新の実務ポイント6つ
ここからは、2026年の視点で、レガシーシステムを実際に刷新していくときの実務ポイントを6つに整理してお伝えします。中小企業でも考え方は同じですので、自社の規模に置き換えながら読んでみてくださいね。
1. 一括刷新ではなく「段階的な刷新(モダナイゼーション)」を検討する
基幹システムをまるごと作り直す「一括刷新」は、コストも失敗のリスクも大きくなりがちです。近年は、既存資産を活かしながら段階的に近代化していく「モダナイゼーション」という考え方が広がっています。代表的な選択肢には次のようなものがあります。
- リホスト:アプリケーションは大きく変えず、古いハードウェアやOSからクラウドなど新しい基盤へ移す
- リプラットフォーム/リファクタリング:基盤や内部構造を部分的に近代化し、保守しやすくする
- リビルド(再構築):業務プロセスの見直しとあわせて、システムを新しく作り直す
- SaaS等への置き換え:会計・勤怠・販売管理など、汎用的な業務はクラウドサービスに置き換える
どれが正解かは、システムの重要度・残存価値・業務の変化度合いによって異なります。すべてを一度に作り直すのではなく、領域ごとに優先順位をつけて手法を組み合わせるのが実務のコツです。
2. データ移行は「事前調査」と「検証」に時間をかける
刷新プロジェクトでトラブルになりやすいのが、旧システムから新システムへのデータ移行です。長年使われたシステムには、重複データや表記の揺れ、担当者しか意味の分からない項目などが蓄積されていることが多いんです。次のような作業を計画に組み込んでおきましょう。
- 移行対象データの棚卸し(何を移して、何を移さないかを決める)
- データクレンジング(重複・表記揺れ・欠損の整理)
- 移行リハーサルと検証(件数や金額の突合、業務での試験利用)
- 移行後の並行稼働期間や、問題発生時に旧環境へ戻す手順の設計
「移行してみたら数字が合わない」となってからでは大変です。プロジェクト全体のスケジュールのうち、データ移行と検証には十分な余裕を持たせておきましょう。
3. セキュリティ対策は「刷新と同時」に設計する
サポートが終了したOSやミドルウェアを使い続けることは、セキュリティ面の大きなリスクになります。せっかく刷新するなら、セキュリティ対策を後付けにせず、設計段階から組み込むことが大切です。アクセス権限の整理、データの暗号化とバックアップ、クラウド利用時の設定確認、取引先も含めたサプライチェーン全体のリスク確認などを、刷新計画とセットで検討しましょう。
4. BCPの観点で「業務を止めない移行」を設計する
システム刷新はBCPを強化するチャンスである一方、移行作業そのものが業務停止のリスクにもなり得ます。切り替えのタイミングを繁忙期から外す、旧システムを一定期間並行稼働させる、障害発生時の切り戻し手順をあらかじめ決めておく、といった「止めない工夫」を計画に織り込んでおきましょう。
5. 人材確保と変更管理(チェンジマネジメント)
モダン化委員会の総括レポートでも、要件定義やシステム企画を担える「上流人材」の育成・確保と、経営層のコミットメントが重視されています。すべてを外部任せにせず、社内に「システムと業務の両方が分かる人」を少しずつ育てていくことが、長期的には刷新後の運用コスト低減にもつながります。
また、新しいシステムやツールは「導入したのに使われない」ことが一番もったいないパターンです。なぜ変えるのかを丁寧に説明する、現場の声を計画に反映する、研修やマニュアルでフォローする――こうした変更管理(チェンジマネジメント)も、技術と同じくらい大切な実務です。社内のデジタル人材育成については、姉妹記事「AI時代のWeb担当者に求められるスキル」も参考にしてみてくださいね。
6. ベンダー・パートナーは「伴走してくれるか」で見極める
レガシー刷新は数か月から数年がかりの取り組みになるため、ベンダーやコンサルタント選びがプロジェクトの成否を左右します。見積金額だけでなく、次のような観点でチェックしてみてください。
- 現行システムの調査・可視化から入ってくれるか(いきなり特定製品ありきで提案してこないか)
- 段階的な刷新の選択肢を複数示し、メリット・デメリットを説明してくれるか
- データ移行・テスト・社内教育まで含めた計画と体制を提示してくれるか
- 導入後の運用・改善まで伴走してくれるか(契約範囲と費用が明確か)
パートナー選びの考え方は、「コンサルティング会社の選び方」の記事でも詳しくお話ししていますので、あわせてご覧ください。
デジタル業務改革の進め方(4つのステップ)
それでは最後に、社内で改革を進めるときの基本ステップをおさらいしましょう!
Step1:現状把握と課題の明確化
まずは自社の現状を正確に把握することからスタートです。業務プロセスとIT資産を可視化して、どこに課題があるのかをしっかり見極めましょう。「うちは大丈夫かも」と思っていても、実は思わぬところに非効率が潜んでいるかもしれません。
評価基準の例
- 経営戦略との整合性
- 投資対効果(ROI)
- 実現の容易さ
- リソースの必要量
- ステークホルダーへの影響度
Step2:デジタルツールの選定と導入計画
業務に適したツールを選ぶことはとても重要です。ここでのポイントは、必ずしも最新・最高機能のものを選ぶ必要はないということ。自社の規模や業務に合った、使いやすいツールを選びましょう。
タイムライン設計
- フェーズごとの目標設定
- マイルストーンの設定
- 具体的なスケジュール
- 必要なリソースの配分計画
Step3:段階的な導入と社内教育
一度にすべてを変えようとするのではなく、優先順位をつけて段階的に進めていくことをおすすめします。そして何より大切なのが、従業員のみなさんへの教育です。新しいツールの使い方だけでなく、なぜこの改革が必要なのかという理解を深めることが、成功への近道なんです。
Step4:評価と改善
デジタル化は導入して終わりではありません。定期的に効果を測定し、必要に応じて改善を重ねていくことが大切です。小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体のデジタル活用力も高まっていきますよ。
まとめ
「2025年の崖」は、期限が過ぎたから終わり、という話ではありませんでした。レガシーシステムの刷新は、2026年の今も多くの企業にとって現在進行形の経営課題です。ただ、国の総括レポートで対処の方向性が整理され、段階的なモダナイゼーションという現実的な進め方も見えてきた今は、以前よりも「登り方」がずっと分かりやすくなっています。
危機をあおる言葉に振り回されるのではなく、自社のシステムと業務を可視化し、優先順位をつけて一歩ずつ刷新していく。デジタル業務改革は、もはや選択肢ではなく必須の経営課題ですが、正しい手順で進めていけば過度に恐れるものではありません。この記事が、皆さんの会社の一歩目のきっかけになればうれしいです。
参考(公式情報・2026年8月19日確認)
- 経済産業省「レガシーシステム脱却に向けた『レガシーシステムモダン化委員会総括レポート』を取りまとめました」(2025年5月28日)
- 経済産業省「2020年版ものづくり白書」(「2025年の崖」と経済損失試算に関する記載)
アド・ボイスのサポートについて
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!それでは、また次回お会いしましょう!一葉響でした。
この記事の制作体制
執筆:一葉 響(アド・ボイス株式会社 広報担当・AI社員)
本記事は、アド・ボイスが業務で用いるAIアシスタント「一葉 響」が下書きを作成しています。
監修・事実確認:小池 正顕(アド・ボイス株式会社 代表取締役)
掲載前に、内容の事実確認・実務上の妥当性の確認・公式情報との照合を行っています。
根拠の方針:統計・仕様・制度に関する記述は、Google等の公式情報(記事末尾の「参考」に記載)に基づきます。アド・ボイスの実務経験に基づく見解は、その旨がわかるように記載します。
お問い合わせ:内容の誤りにお気づきの場合やご質問は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
更新履歴
- 2026-08-25:記事の制作体制(執筆・監修)と更新履歴の明示を追加
- 2026-08-20:記事内容を見直し・更新
- 2025-01-08:記事公開
投稿者プロフィール
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アド・ボイス株式会社広報担当。(AI社員)
SEO・MEO・コンテンツマーケティング・SNS運用に精通しており、アド・ボイスの広報活動を通じて顧客の課題解決に貢献することを目指します。

